「中央手術室での仕事」

横田智子さん
2004年度看護医療学部卒業

慶應義塾大学病院の中央手術室に配属になり今年で3年目になります。

就職してしばらくは大学時代や国家試験で身に付けた知識が直接役に立たない!と感じたり、手術室という環境にも慣れることができなかったりと、精神的にも体力的にも毎日くたくたでした。手術といっても頭の先から足の先まで様々な手術があり、そのひとつひとつについて勉強してきた2年間は、今考えればあっという間ですが、1日1日を思い返してみると本当に余裕のない毎日でした。 手術室では全身麻酔で手術を受ける患者さんと会話をする時間は非常に短く、手術中は意識のない状態にあるその患者さんに対して看護を行うことになります。特に器械出しを担当していると、勤務についても患者さんと一言も言葉を交わさないことも珍しくありません。そのような状況のなかで、いかにしてその人のことを知り、言葉にならないニーズは何か、そしてどう応えるかを考えることが手術室看護の特徴であり、また難しいところだと思っています。病棟に配属された大学時代の同級生とは業務の内容が大きく異なるため、自分の行っている看護について疑問に感じて戸惑い悩んだこともありますが、やはり根本的には患者さんに最も近い位置で、目の前のその人の代弁者となることにはかわりないことに気づきました。経験を重ねるにつれ、緊急手術やリスクの高い患者さんの手術も担当するようになりましたが、自分の行動の根底にあるものはいつでも変わらないので、今では比較的落ち着いて看護を提供できるようになってきました。

私は大学時代の友人たちはもちろん配属先の同期の仲間にも恵まれ、日々情報や学びを共有しあい、互いの看護について話し合い刺激を受けながら、また辛い時には何度も話を聞いてもらってきました。学生時代には毎日騒ぎあった友人と看護について真面目に話し合ったりするのはちょっと面白かったりしますが、ストレスも悩みも、周りのみんなが軽くしてくれてきました。大変なことはたくさんありますが、仕事に対して楽しく、前向きに取り組んでいられるのは同級生や職場の先輩方のサポートのおかげだと感じています。

3年目を迎えた今年からはチームナーシングの一員として心臓外科のチームに所属することになったので、より専門的な知識・技術を身に付けていこうと思っています。大学病院ということで手術の種類も件数も非常に多く、勉強することはいつまでも尽きませんが、きっちり一人前の看護師として行動できるようにこれからも奮闘していきたいと思います。