学部長あいさつ

「多様化する課題に立ち向かえる人材を」

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慶應義塾大学看護医療学部長
武田 祐子

慶應義塾における看護教育の変遷と理念

看護医療学部は、2001年に慶應義塾大学の9番目の学部として開設され、2021年には創設20年を迎えましたが、その礎として慶應看護の長い歴史があります。
慶應義塾大学医学部創設の師である北里柴三郎博士は、「治療術」の進歩だけではなく「看護術」の進歩がなければ効果は得られないと説き、医学科創設の翌年である1918年に看護婦養成所を設置しています。 実践と発展を支えてこられた多くの先輩諸氏から、「実学」と「独立自尊」を大切にする精神が脈々と受け継がれ、2018年には慶應看護100年という節目を迎えることができました。

期待される人材、育成する人材

「生命・人間尊重の精神の涵養」「看護の判断能力、問題解決能力、実践力の養成」を目標とした看護医療学部の教育では、幅広い知識の習得と共に、多彩な体験に基づく思考の発展や人間的成長を目指します。そのために、数々の魅力ある教育プログラム等が準備されています。医学部・看護医療学部・薬学部の医療系三学部による合同教育、学部独自の海外研修プログラム、学生の関心に合わせた海外活動を支援する奨学金制度、そして総合大学の特徴を生かした豊富な教授陣と幅広い科目履修等が挙げられます。個々の関心や主体性を尊重し、きめ細やかな個別指導を可能とする少人数教育を組み入れ、学生からも高い満足度が得られています。

一方、世界的なCOVID-19感染症の拡大により、社会・経済的影響は多大なものとなり、人々の生活は一変し、新たな価値観の創造や社会全体の再構築が求められています。現代日本に目を向けると、超高齢社会、少子化、そして気候の変動により拍車がかかっている災害大国でもあり、健康に関連する課題は複雑に多様化してきています。柔軟性を持って様々な課題に立ち向かい、新たなケアを創出し、高い倫理観を持ち、人々が健やかに安寧に暮らせる社会に貢献し得る人材が求められます。それは、わが国だけではなく、世界共通の願いです。

慶應義塾の信条とする「自我作古(じがさっこ)」(われよりいにしえをなす)の気概を持って、チャレンジして欲しいと思います。