がん看護のプロフェッショナルとして、日本のがん看護を牽引したい
宗あさひさん

Profile
宗 あさひ

看護医療学部4年生
2014年入学


(2017年インタビュー)

--看護医療の道に進もうと決めたきっかけは?

小さい頃、祖母のがん闘病生活や死を経験し、漠然と「人の役に立つ仕事」がしたいと考えていました。そして高校生の時、自分の進路を決めるタイミングで「人の生きることを支えたい」と思い、この思いを実践することが出来る仕事が何かを考えた時に看護の道を選びました。

私は慶應の一貫校に在学していたため、慶應大学に進学する以外の道は考えていませんでしたが、慶應の看護医療学部は看護師を養成するだけでなく、看護の知識を活用して社会で活躍できる人材を育てる学部であることに魅かれ、進学を決めました。

--力を入れて取り組んでいる学びや慶應らしさを感じることについて教えてください

実習や日々の生活から学んだことは数えきれないほどたくさんあります。自分なりに「生きることを支える」ことが出来る看護が何かを考えた結果、特にがん看護に関する学びを深めてきました。

がん看護は手術で完治する段階での急性期の領域でもあり、化学療法や再発への治療段階である慢性期領域など、様々な領域を持っています。その中でも特に、慢性期領域や緩和ケア領域についての学びに強い関心を持っていました。現在もプロジェクトで、このような看護について研究をしています。

先端医療を学ぶことが出来る環境で学び、実習を行った経験が、このような私の学びにつながっていると思います。そして看護の視点だけでなく、医療系三学部の合同授業や、他学部の講師による授業などから、人間の学問として看護を取り組むことが出来ているのは、総合大学である慶應だからこそだと感じています。古くからの固定概念にとらわれず新しい視点や要素を次々と受け入れ、より良い看護を次のステップにつなげているのは、「自我作古」(*)という慶應義塾の精神を受け継いでいると感じています。

*自我作古(じがさっこ)・・・「我より古を作す(われよりいにしえをなす)」と訓み、前人未踏の新しい分野に挑戦する勇気と使命感を表した言葉で、慶應義塾の信条となっています。

--どのような講義で充実感を得ることができましたか

看護医療学部での授業は低学年の頃から、たくさんのグループワークがあることが特徴です。看護という学問は答えが1つに定まることが無く、様々な視点から多角的に捉えることで無限の可能性が秘められています。そのためグループワークは非常に重要です。

グループワークを通して自分の知識のなさを痛感し、もっと勉強したいと思い、文献検討やディスカッションを多く行ってきました。こうした学習を通して新しい発見があった時、多角的な視点で物事を捉えることが出来た時など、大学での学びの大きさを感じます。

「私はこう考えていたけど...これで良いのか」と悩むことも多々ありましたが、こうした悩みもディスカッションを通して「こういう違う考え方もあるんだ」と気付く瞬間は、とても充実感を感じます。また、3年秋にある各2~3週間の5領域の実習では、1つ1つの実習が終わるごとに、大きな新しい学びを得ることができ、勉強が大変だった分、頑張って良かったという満足感を感じ、全ての実習が終わった今、とても良い思い出になっています。

--どのような課外活動に取り組んでいますか

1年生から應援指導部吹奏楽団に入っています。中学生・高校生の頃から東京六大学野球の応援が大好きで、毎週土日は神宮球場に足を運んでいました。大学入学時も、看護の勉強だけで4年間の学生生活を終わらせたくないと思い、この部への入部を決めました。

看護医療学部と部活の両立は大変ですが、学部の友人に支えてもらい応援してもらい、そして應援指導部の友人にも学部のことを理解し協力してもらいながら続けることが出来ています。多くの友人の支えと、オンとオフの時間の使い分けにより、自分の学生生活を思い切り楽しむことが出来ています。看護のコミュニティーだけでなく、様々な学部や環境で学びを深めている友人との部活動は、私の学生生活を語る上では外せない大事な活動の1つです。

現在私は吹奏楽団応援企画という、活動の中心である応援活動の企画・運営を務めています。なんといっても170名を超える部員と、応援席を埋め尽くすたくさんのお客さんと一緒になって塾生を応援出来ることが、應援指導部の一番の魅力です。人と関わる看護師に向けた学びをしている私だからこそ、部員にもお客さんと一緒に喜怒哀楽を共有してもらいたいと思い、活動の幅を広げています。看護が持つ良さや、看護を学ぶ過程で身に着けた人生観や人間観を様々な場面で活用しています。

そして良き仲間でもあり、良きライバルでもある早稲田大学との一戦で勝利を掴むことが出来た瞬間は、何にも代えられない喜びと嬉しさを感じることが出来ます。

--看護医療学部の魅力、強みはどのようなところにあると思いますか

看護医療学部の魅力は豊富な資源が揃っていることです。先生方と私たち学生の距離が近く、学びを通して多くのコミュニケーションをとることが出来ます。臨床現場で看護師として働かれていた先生方から多くのお話を聞くことで、実際の看護の姿や理想と現実を知ることができるのは、貴重な時間であると感じています。

また、看護の知識を統合させて社会で活躍できる人材を育成する看護医療学部は、多様な考え方や思い、夢を持った学生が多く、そういった学生を受け止めて下さる先生方がたくさんいます。人を支える仕事である看護師を目指す学生、その学生を支えてくださる先生方によって、私も課外活動を続けることが出来ています。

看護の道に進み、看護医療学部での学びをもとに様々な夢を持つ友人たちとの学生生活は、他の学部では味わえなかったと感じていると同時に、慶應の看護医療学部で学ぶことが出来たことに誇りを強く感じています。

--将来はどうなっていたいですか?

来年の春から、がん看護の専門病院に就職することが決まりました。慶應病院ではなく、がん専門病院を選んだ理由は、2人に1人ががんになる時代に、がんと告知されて複雑な心境の患者さんやご家族を支えることのできる看護師を目指したいと考えるようになったからです。

将来は、変化し続ける医療に適応しながらも、変わらない看護の本質を大切にし、広い視野を持って看護を実践していきたいと思っています。医療現場にIT技術が進出する中、哲学や人間科学の側面からも看護を捉えることが求められると考えています。また、がん看護専門看護師を取得し、がん看護に携わるプロフェッショナルとして、日本のがん看護を牽引することができるような存在になりたいという夢を持っています。

--看護医療学部を目指す学生へメッセージをお願いします

大学生活の4年間は、慌ただしくも有意義な時間となるに違いありません。特に看護医療学部は実習や日々の生活から、かけがえのない経験や交友関係を築くことができる素敵な場所だと私は思っています。

進学先を決める時、大学受験をする時、晴れて合格して慶應の看護医療学部に入学する時、具体的に自分の将来をイメージ出来ていなくても心配することはありません。なぜなら4年間の経験を通して、自分の進む道の選択肢が無限に広がっていき、自ずと興味のある分野に進むことが出来る環境にあるからです。私自身もそうでした。但し漠然と4年間を過ごすのではなく、自分がどういう看護師像を持っているのか、なぜ看護医療学部に進学しようと思ったのか、そこで何を学びたいと思ったのかを忘れず、強い意志や軸を自分の中に持ち続けてもらいたいと思います。

共に塾生・塾員として、学べることを楽しみにしています。