「既存の枠にとらわれない医学教育を求めて」半田友里香

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半田友里香さん
2014年 看護医療学部卒業

 

 

 

 

 

 

--現在、どんな活動をされているのですか?

医学書出版の株式会社メディックメディアにて、編集者として働いています。

メディックメディアは、「医学をわかりやすく、より多くの人へ。」というスローガンのもと、医学、看護学、薬学をはじめとした医療系の参考書や問題集などの書籍、デジタルコンテンツを制作している出版社です。『病気がみえる』などの「みえる」シリーズ、『イヤーノート』『レビューブック』『クエスチョン・バンク』などの書籍で知られています。

私は、少しでも医療界に貢献したいという思い、ビジネススクールという教育の場で勤めた学生時代の経験、幼い頃からアート好きだったことから、「医療」×「教育」×「クリエイティブ」という範疇での仕事を志向し、新卒でこの会社に入社しました。 現在は、書籍制作の企画・進行管理のみならず、解説動画の講師、データ分析、新規プロジェクトの立ち上げなどの業務に関わっています。

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--看護医療学部を選ばれたきっかけは?

実は、幼い頃から弁護士になることが夢でした。都立日比谷高等学校に在学中も、法学部を目指し文系科目ばかり勉強していましたが、ちょうど大学受験の際、駅のホームで倒れた男性を眼前とし、「助けたい!」と思ったことがきっかけで理系に転向、翌年に慶應義塾大学看護医療学部に入学しました。今こうして振り返ると、「少しでも人びとの役に立つ生き方を」という両親の教えや、兄たちが医師、姉が看護師という家庭環境にも、背中を押されていたのだと思います。

--どのような学生生活を送っていましたか?

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学生生活の前半は、視野を広げるため、湘南藤沢キャンパスにおける看護学の講義に限らず、英会話、論文スキル、法学、組織学など、三田キャンパスや日吉キャンパスの講義も受講しました。
一方、学生生活の後半は、医学の学びを深めました。研究者の道に進むことも選択肢の一つとして考えていたため、海外の大学院にも進学できるよう、GPA(Grade Point Average)4.0という成績を目標に、自習室や図書館で勉強に明け暮れる日々を送っていました。そうした日々が功を奏し、最終的に3〜4年次はGPA 3.94の成績を修めることができました。
また、青田与志子記念基金の奨学金給付制度を活用させていただき、自主研究の一環としてスタンフォード大学病院を見学したり、ワシントン大学に短期留学したりしました。
その他、プロジェクトでは、戈木クレイグヒル滋子先生のもと質的研究手法について学ぶとともに、救命救急サークルのKAPPAにも所属し、二次救命処置について学んでいました。

--現在の仕事とつながっている、学部時代の学びについて教えてください。

現在の仕事は、「編集者」として書籍制作に携わるだけでなく、「講師」として全国の看護学生さんに解説動画をお届けしています。つまり、医学や看護学をわかりやすく伝えること、学生の皆さんに「医療の勉強は面白い!」と感じてもらうことが、最大の仕事です。そのため、「他者に伝える力」が必要不可欠となります。
慶應義塾大学の授業は、グループディスカッションや、学生自身が意見を発表する機会が多いため、受動的ではなく、能動的な授業が展開されます。この様な授業特性、学生一人ひとりの力を引き出そうとしてくださる先生方の素晴らしいご指導により、知識が身につくだけでなく、自分の頭で考え、「他者に伝える力」が育まれました。こうした学生時代の学びは、卒業後も私のなかで生き続け、現在の仕事に直結しています。

また、在学中は医学部生や薬学部生とともに、公衆衛生のゼミを運営していました。その時に一緒に活動していた医学部の教授や先輩たちとの交流が続いており、現在はプライベートに限らず、「監修者―編集者」という関係性として、仕事上でもお付き合いいただいています。素晴しい良縁に恵まれ、感謝してやみません。

まだ社会の一端でスタートラインに立ったばかりですが、学生時代に培った礎や、良縁を大切にしつつ、既存の枠にとらわれない医学教育を求めて、常に挑戦し続けていきたいです。

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--看護医療学部を志す後輩たちへメッセージをお願いします。

慶應義塾大学の看護医療学部は、総合大学という強みを余すところなく存分に活かし、「これからの医療」を学ぶことのできる、素晴らしい学び舎です。
今後、医療現場においては、一つの職種だけで業務を完結させるのではなく、医師・看護師・薬剤師などの他職種同士が互いに恊働する「チーム医療」がますます重要視される時代だと思います。慶應義塾大学の様な総合大学で、各領域の学問にとどまらず、他学部の学生と肩を並べ、多様な教養を身につけてください。そして「これからの医療」について学ぶとともに、自分自身の可能性や選択肢を限りなく広げていただきたいです。
皆さんが、慶應義塾大学にて素晴らしい学生生活を送ることができますよう、願っています。