「文武両道で目指すのは、優しさと強さを兼ね備えた看護師」酒井亜弥さん

文武両道で目指すのは、優しさと強さを兼ね備えた看護師 酒井亜弥さん

自分自身の入院経験をきっかけに、看護師への夢を持つようになった酒井亜弥さん。「入院した際に、担当の看護師さんが優しくサポートしてくださり、心から安心できたのを覚えています。看護師の仕事を通して人の役に立てたら良いなと、当時強く思いました」と活き活きとした笑顔で語ってくれました。日々の講義だけではなく、慶應義塾体育会バスケットボール部(女子)にも所属し、文武両道を目指す酒井さんに、勉学とスポーツを両立させる方法や日々の学び、感じていることについて、お話を伺いました。

--医療の道に進もうと決めたきっかけは?

高校3年生の頃、一時期入院していました。その際に世話をしていただいた看護師さんがとても優しく、常に安心感を与えてくださる方でした。腰椎麻酔で意識はあるけれど、下半身はまったく動かず不安に感じているときにやさしく手を握ってくれたり、辛そうにしていると「もう少しで終わるからね」と励ましてくれたり、常に気遣ってくださる素晴らしい看護師さんでした。それ以前は理学療法学科を目指していましたが、その方と出会ったことで、同じ医療の道でも看護師になりたいと思うようになり、志望を看護へと変えました。

--慶應看護医療学部を選んだ理由は?

看護系の学部というと、医療に関する勉強ばかりするイメージが強いですが、慶應の看護医療学部は看護だけではなく、学部を横断して幅広い学びができると知ったからです。選択科目が20科目もあったり、他学部の授業も選択できたり、外国語もしっかり学べるのは、看護の知識を専門的に身につけるだけでなく、幅広い分野についても学びたい人にとって、とても魅力的なカリキュラムなのではと思います。

--これまでで特に心に残っている講義は?

1年生のときに、看護師さんのお仕事に付き添わせていただいて、どのような業務を行なっているのかを見学するという実習がありました。4~5人の担当患者さんを抱えて多忙な中、どの患者さんへもまんべんなく、目が行き届いていました。たとえ違う仕事をしている間でも、患者さんへのフォローは完璧で、講義で習った模範的な看護師さんの姿そのものを目にすることができました。私の憧れです。

--自分の意識を変えた講義はありましたか?

1年生のとき「今日の看護医療」という講義の中で、保健師や助産師について学ぶ機会がありました。そこで初めて保健師の仕事について知ることができたのは収穫でした。看護師を夢見て入学したこともあり、卒業後は病院で働くイメージしかありませんでした。保健師として医療的なことだけにとどまらず、虐待や貧困家庭など、さまざまな社会的な問題も含めて、ひとつの地域を守る仕事にも興味を持つようになり、考え方の幅を広げることができました。慶應には自分の意識や認識を変えてくれる講義がたくさんあります。

酒井亜弥さん

--勉学にも励みながら、体育会にも所属されていますよね。

慶應義塾体育会バスケットボール部(女子)でフォワードとして活動しています。今年でバスケットボール歴は11年目になります。入学当初、バスケットボールサークルに見学に行くと、バスケットボールを好きな人達が楽しく活動している姿が印象的だったのですが、高校の部活のように週5回、試合で勝つために本気で練習を行う方が、自分には合っていると感じ、体育会への加入を決めました。バスケットボール部では、皆で団結して毎日練習に励んでいます。バスケットボール部は日吉キャンパスで活動しているため、SFCで授業を終えて1時間半くらいかけて向かいます。ただ、看護医療学部は必修の授業が多く、どうしても練習に参加できない日には自主練習で補うようにしています。最初から最後まで練習に参加できる水曜は17~21時くらいまで、土日は午前か午後で練習しています。

--勉強とバスケットボールを両立させる方法は?

バスケットボール部には「勉強もしっかりやる」精神が根付いていて、試験前は休部期間になります。その間は自然と勉強に集中できます。ただ、他の学部以上に看護医療学部は課題も多いため、試験期間以外でも、勉強だけに注力したいときがあります。部の仲間たちに丁寧に説明することで、休みをもらうこともできます。看護医療学部のハードさを理解してくれており、文武両道の意識を高く持っている人が多い部活なので、活動しやすいです。一番大変なのは、レポートと試合が重なるときです。そのときは練習後はすぐに帰って勉強したり、細かい空き時間や土日の部活がない時間を勉強にあてるなど、時間の使い方を工夫しています。

--将来はどんな看護師さんになりたいですか?

医療の知識や技術を十分に持っておくことが前提になりますが、入院生活時はもちろん手術時など、患者さんが不安を抱いてしまう瞬間にも、手術をすることで何がどう変わるかを丁寧に説明し、サポートを行い、安心して任せていただけるような、信頼の厚い看護師になりたいです。

--看護医療学部を目指す学生さんにメッセージをお願いします。

看護医療学部はもちろん看護を専門的に学ぶ場でもありますが、総合大学ならではの強みがあり、看護だけではなくさまざまな学びを得られます。他学部の学生とも交流できるため、広い視野を持つこともできるでしょう。また、卒業生の先輩方は、さまざまな進路へと進まれています。なかなかイメージしづらい職種でも、ロールモデルとなる先輩の姿を見ることで、こんな進路もあるのかと実感が湧きやすいのではないでしょうか。看護に限らず幅広く学びたい方にとって、4年間充実した生活を送ることのできる学部だと思います。

(インタビュー取材 2013年5月)