「Mayo Medical Centerにおける研修に参加して」看護医療学部 黒田典子さん

「Mayo Medical Centerにおける研修に参加して」看護医療学部 黒田典子さん

 

 私は、学部4年の時、Mayo Medical Center(アメリカ、ミネソタ州・ロチェスター)における急性期・慢性期患者の看護を学ぶ実習に参加しました。
 まず驚いたのは入院期間の短さです。慶應義塾大学病院での入院日数は約15.7日ですが、Mayoの入院日数は、平均4.7~5.6日と大変短いものでした。Mayoにおける入院期間の短縮化は、患者教育システムの充実によると思いました。病院には患者専用の図書館があり、病院のロビーや病棟には、疾患の予防・治療について説明したパンフレットが豊富に置かれていました。患者や家族が、自由に情報収集を行えるのです。また、手術前患者は、外来で手術について説明するクラスに参加し、手術当日に入院します。手術数日後から、患者・家族は自宅でも傷口の消毒や点滴管理ができるように指導を受け、傷口にガーゼを当て、体にチューブを入れた状態でも退院していました。
 患者の個別性が非常に尊重されていることにも驚きました。面会時間の制限はなく、病室も外来も患者と家族がゆったり過ごせる環境でした。また、宗教に関係なく、誰でも利用できる「祈りの部屋」がありました。食事も、患者が病院のメニューに食べたいものをリクエストできます。このような病院環境は、患者・家族に希望を与え、治療やリハビリに積極的に取り組む意欲を引き出し、早期退院を可能にしていると思いました。
 また、看護師は、患者のニーズをしっかり捉えた対応をしていました。患者には、看護師以外に多くの職種のスタッフが関わるため、担当看護師の負担が軽減され、一人一人の患者に丁寧に関わることができます。さらに、看護の専門性が多様で、患者のニーズに対応した専門看護師が関わり、質の高い医療を行っていると感じました。
 入院日数の短縮化が進む日本の課題は、患者・家族への情報提供システムの充実だと思いました。一方で、日本のように一人の看護師が様々な役割を担いながら患者に関わることは、一人の患者をよく知って関われる良い点もあると感じました。今後Mayoで見た取り組みや視点を大切にすると共に、世界に目を向けて情報を得て、良質な看護を提供できる看護師でありたいと思っています。

(4学年在籍時)